ワインエキスパート一次試験合格までにやったこと

日本酒つながりで仲良くなった飲み友だちが、順番にワインソムリエやエキスパートの資格を取り、楽しそうにワインを語る姿を見て、「仲間に入りたい…!」とワインエキスパートを目指しました。

3月頃に試験に申し込んだ後、教本がソムリエ協会から届きびっくり。もともと暗記する量がとても多いと聞いてはいたものの、想像以上の情報量でした。みるみるやる気がなくなり、まわりに流されるままに勉強を始めたことを後悔しました。

ソムリエ協会の教本
厚さ4cm。重いです。

しかし、やりました! 一次試験合格。一度目のテストで合格できました。

正直、暗記は苦手です。人の顔も名前も1度で覚えられず苦労しています。学生のときから世界の地理も歴史も苦手でした。こんなわたしでも一次が受かることができたので、勉強方法はそれなりに間違っていなかったと思います。ということで、合格までにやってきたことを紹介します。

仕事はフリーランスですが、ワインとは関係のない仕事をしています。主に仕事が終わった後や休日の時間が取れた時に勉強しました。これからソムリエやワインエキスパートの勉強を始める人、挫折したけど再挑戦したい方の参考になれば幸いです。

特に、下記のような方(わたしと似たような方)は参考になるかと思います!

  • もともとワインに詳しくない
  • 暗記が苦手だ
  • 勉強に使える時間が少ない
  • 教本に挫折した(文字情報に弱い)
  • 左脳より右脳派
  • 最終的にワインを人と一緒に楽しみたい
目次

合格までにやった勉強

ソムリエ・ワインエキスパート試験の勉強方法として、大きくスクール・独学のふたつの選択肢があります。

わたしは、最初に独学(教本読み込み)を目指し挫折し、オンラインスクールの参考書とYouTubeなどの動画視聴、問題集アプリで主に学びました。

参考書と問題集アプリの最強コンビ

一番メインの参考書は「ヴィノテラス ワインスクール テキスト 2024年度」でした。

VINOTERAS WINE SCHOOL TEXT BOOK vol1 vol2
B4サイズで教本より軽いし持ち運べる。¥4,800 (税込) amazonでも購入できます

ヴィノテラスのテキストは、WEB問題集アプリ「VINOLET(ヴィノレット)」に対応しています。問題を解き、解答が表示されるとき、簡単な解説と参考書の該当ページも表示されます。間違えたところを詳しく知りたいときに、参考書の該当ページをすぐにチェックできるので、復習にとても便利でした。

「VINOLET」は無料でも使えますが、その場合、問題数や機能が制限されます。4,500円(税込)課金することで、全約4000問の問題を解くことができます。問題をたくさん解くほど暗記も強固になるしテスト慣れもできるので、有料版でたくさん問題を解くのがおすすめです。

参考書と問題集の良かった点をまとめます。

ヴィノテラスの参考書

メリットデメリット
要点が絞られている
重要ポイントが図やグラフで視覚化されている
情報がチャンクでまとまっていて暗記しやすい
ベテラン講師の監修で信頼性が高い
B4サイズ軽くてバックに入れて持ち運びしやすい
教本の内容すべては網羅されていない
2色印刷の都合上なのか少し見ずらい部分がある

要点が絞られる分、すべての情報が網羅されないのは、どうしようもないことかと思います。逆にそれ以外の大きな欠点はないと思います。

試験は教本に書かれたことしか出ないので、すべてを読み込み網羅できるならそれが一番です。しかし、わたしには無理でした。グラフや図を多用した参考書によって視覚的に理解が進められるようになり、ようやく頭に入ってきました。

この参考書をもとにして、さらに自分なりに要点をノートにまとめ直しました。

WEB問題集アプリ「VINOLET(ヴィノレット)」

メリットデメリット
スマホがあればいつでもどこでもできる
問題数が多い
問題を何度も繰り返すことで記憶に定着する
模擬試験機能がある
ヴィノテラスのテキストにない問題は出ない
  (後に掲載のない問題も出るようになりました)
難易度が比較的低い

ほんとにこの問題集アプリにはお世話になりました。ヴィノテラス ワインスクール テキスト 2024年度とセットで使用すると最強です。

AIが苦手な問題や忘れている問題を抽出してくれる、という便利機能もあるのですが、わたしはあまり使いませんでした。国や単元ごとの全問題をクリアする、間違えたところを間違えなくなるまで解く、苦手な単元は全体的に繰り返す、といういだけで、時間が過ぎてしまったからです。

個人的には、自動で模擬試験をつくってくれる機能はよかったです。たくさん使いました。制限時間や問題数、難易度、出題するカテゴリなどを組み合わせて設定でき、試験に近い形で出題してくれます。同じアプリを使っていた友人は、10分で20問など短い単位で繰り返していました。

「ヴィノレット」この学習アプリは、まずは難易度の低いものをたくさんやって基本を身につけたい、という要望を完全に満たしてくれました。

簡単な問題が多く、教本の内容から絞って要点をまとめたテキストから出題される点など、確かに本当にそれで受かるのか?という疑問も少し湧きましたが、実際受かることができました。

むしろ重箱の隅をつつく系の問題は、そうとうしっかり勉強しないと解けないと思っていたので、優先順位低めにして、もし簡単な問題が完璧に解けるようになったら取り組もうと考えていました。結局、手をつける時間はとれませんでした。

YouTubeなど動画視聴

ヴィノテラスは、テキスト・アプリを個別に購入することもできるのですが、それらにプラスして全20回のオンラインのビデオ講義や模擬試験もパックになったコースがあります。

ビデオ講義は無料体験講座が、ひとつだけアップされていました。

テキストを執筆されたという舞先生の補講は、無料視聴できました。

有料のオンライン講座を受けた友人は、すごくよかったと言っていました(友人も一次は一発合格)。オンライン講座+参考書+問題集アプリが間違いなく最上な選択だと思います。わたしは遅れをとってしまって参加するのが面倒になったので参考書と問題集アプリ、YouTube動画などで乗り切りました。

ソムリエとして活躍している方の話は、教科書ではこう書いてあるけど実際はあまり使わないとか、テストには出ないけどソムリエならこれは絶対知らないといけないとか、海外や国内の生産者の話などなど、本だけで学ぶのでは得られない貴重な情報が得られます。

これは本当に独学では難しい部分だと思います。オンラインでも通学でもスクールに行く大きなメリットです(もしかしたらそういう話をするしないは先生に寄るかも知れません)。ただ、YouTubeを探っていくとさまざまな情報が得られるので、積極的に調べることで補うことは可能だと思います。

ワイン勉強系のYouTubeチャンネルは、探すとたくさんありました。もうひとつ、よく視聴していたのがこちら「語呂ワイン」

Vtuber講師の方のチャンネルです。その名のとおり暗記の必要なものを語呂で覚えようというコンセプト。また、神ノートといって必要な情報をまとめているノートの配布もされていたと思います。イラストを多用し視覚的に要点を整理してさらにおもしろい語呂が合わさって記憶に残りやすいです。

声が良いのと、語呂が秀逸です。暗記に困ったときは必ず視聴しました。特にイタリアが苦手だったのですが、何度も助けられました。テンポよく要点をかいつまんでくれるので、頭に入ります。特にテスト直前はよく見ていました。

WEBサイト

ワインブックスクール

5月頃まで、もうひとつワインブックスクールというオンラインスクールに参加していました。こちらは、会員制で月会費2,200円支払うとWeb上の情報すべてにアクセスでき、問題集を解いたりビデオ講座を視聴できたりします。金額的にも手頃だったのと入会退会も気軽にできるシステムです。(現在、再入会しました)

ワイン系YouTuberの前場さんという方が主催していて、試験に関係なく動画をよく見ていたので親近感がありました。ただ、基本的には教本の読み込みを重視されていたため、残念ながら途中で挫折してしまいました。

Web上でできる試験対策問題は難易度も高く、解きごたえがあるのではないかと思います。

教本読み込むのが苦ではない方ならすごくおすすめです。講師の前場さんは、試験に受かることも大事ですが、その後のワインライフを楽しめることを最終ゴールとされていて、コミュニティとしてもよい場になっていたと思います。

ワイン受験.com

ソムリエ・ワインエキスパートに関するかなりの量の情報が蓄積されているWEBサイトです。SEOでも上位にあがっているので、受験生で見たことのない人がいないのではないかと思います。

こちらもワインブックスクールと同じく、webサイト内に問題集や模擬試験、一次試験対策動画などがあり、問題集・模擬試験:年間5,500円(税込)、一次対策動画:年間5,500円(税込)を支払うとすべての情報にアクセスして利用できる仕組みです。価格的にはとてもお得ですね。

こちらのサイトで利用させていただいたのは「一日一問」メルマガ。メルマガに登録すると、毎日問題の書かれたメールが届きます。一日一問とありますが、一日に3回まで設定できます。

このメルマガに登録し、毎日問題を目にしていました。実はいまも続けています。知識を忘れないよう時々思い出すのにも良いと思います。

問題集その他

「VINOLET」の問題だけで少し不安だった時期に、問題集を購入しました。

覚えやすく、学びやすい、ソムリエ試験対策問題集 2024年度版: CBT方式に勝つ!受験のプロが分析した出題高確率の1250問

「VINOLET」にない設問がいくつかあり、教本に触れるよい機会になりました。このとき、教本を辞書のように使用しました。

しかし、最終的には、「VINOLET」1本に絞ったため、こちらの問題集を何度も繰り返す、ほどには使用しなかったです。単元ごとに一度づつ解いただけになりました。

受験のプロに教わる ソムリエ試験対策講座 ワイン地図帳付き〈2024年度版〉

こちらは、参考書と問題集が合体したもので、単元ごとに問題を解き理解を深める形式です。

画像は最新版ですが、わたしが持っていたのは2022年版で、何年か前にどんな試験なのか知りたくて購入していたものでした。参考書として要点がすごくよくまとまっています。しかし、基本的にはテキストベースなので、途中で挫折してしまいました。

著者の杉山明日香さんは、「今でしょ」の林先生と同じく東進ハイスクールの数学の講師だそうです。杉山さんのワインスクールもあります。ワインについての著書も多く、そちらはしっかり読ませていただきました。勉強以外の参考になったワイン本ものち別の記事で紹介したいと思います。

本番想定模擬テスト

参考書と問題集でお世話になったヴィノテラスの本番想定模擬試験を利用しました。パソコンでやる本番のCBT方式と同じような形式で時間を計測しておこないます。

「ヴィノテラス ワインスクール テキスト 2024年度」の1冊目が終わったタイミングで、6月9日に中間テストがありましたが、わたしは勉強が追いついていなかったので、最初パスして自分のタイミングで申し込みました。本番直前の8月4日にも総合模擬試験がありました。

テストの後、問題の詳しい解説動画もセットです。模試は70%以上の正解率で”合格”判定がでるのですが、わたしは2つ受けてどちらも70%以下の不合格。かなり焦り、やる気に火がつきました。それぞれ5,500円(税込)かかりますが、やっておいて損はないと思います。

ちなみに、個人的な感想としては本番の試験の方が難しかったです。

一次試験合格までのスケジュール

試験日までの学習スケジュール

どのように学習を進めたか、スケジュールをざっくりと紹介します。

3月10日エキスパート試験の申し込み
3月16日教本到着 ー本の厚さに絶望ー
3月31日【2024年度】ヴィノテラス ワインスクール テキスト到着
5月6日問題集WEBアプリ「VINOLET」トークン購入
7月末まで動画視聴+参考書で理解 → ノートに要点整理 →問題集「VINOLET」を解くの繰り返し
8月4日ヴィノテラス 全国オープン総合模擬試験 2回 → ー不合格判定ー 
模試の間違えたところを中心に復習 → 重要単元の暗記強化
8月20日一次試験受験 → 合格!

今思うと、3月の初期くらいから覚悟を決めて、「オンライン講座+参考書+問題集アプリ」に絞るのが効率的だったかもしれないです。いろいろ寄り道してしまいました。

また、仕事の都合であまり勉強できなかった時期もありますが、模擬試験を受けてから本番試験まではかなり力を入れて取り組みました。暗記が多いテストですので、直前の勉強はかなり効いていたと思います。

試験日をいつに設定するか

ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験は、CBT方式で日程を自分で選ぶことができます。2024年の日程は、7月20日(土)〜8月31日(土)(※台風の影響で少し延長されたらしいですが)。その期間内で、1回、または2回受験できます。

一次試験の受験回数は、申し込みのときに選べます。たしか2回だと、5,000円くらい高かったはずです。自信のある人はもちろん1回でいいと思います。

試験日をいつにするかによって学習のスケジュールは変わると思います。なるべくなら6月中には全単元に目を通し理解を深め、7月はテストを繰り返し暗記を強化していくのが理想です。

最初は、8月頭に一度試験を受けてダメなら少しおいて復習して8月後半に再試験というのが最適かと考えました。できれば早めに一次試験を終わらせ二次試験の準備に備えたいところです。

わたしは一次試験に自信がなかったのでお金を多く払い2回受験にしました。当初想定したスケジュールとしては、1回目のテスト日を8月6日に。早めに受けて楽になりたかったのです。

しかし、7月頃から仕事が忙しくなり、まったく勉強が進まず、後から8月20日に日時を変更しました。変更は一次試験用の専用サイトで簡単にできます。その日に空いている会場を選んでポチッと押すだけ。2回目のテスト日はその1週間後27日に設定し、8月の試験日まで最後の追い込みをかけました。

試験を受けての感想

事前に「最初の10問くらいは、難問がでるらしい」という噂を耳にしていました。難しいと思っても当たり前だから最初にくじけないように、というアドバイスも込みでした。実際に試験を受けたら、いくつか分かる問題があったので、ただの噂だったのか..と一瞬安心しました。

しかし、その後、答えの分からない問題が続きパニック状態に。問題が頭に入ってこなくなり「絶対に落ちた…」と焦りまくり。40問くらいきたところでふっきれて、それなら出題された問題を覚えて2回目の試験に備えようと、気持ちを切り替えました。すべて解き終わり、少し戻って見直した頃にだいたい70分近くになり終了。画面に「合格」の文字がでたときに、あまりの予想外の展開に、「機械のミスでは?」と疑いました

少し思ったのは、分かった問題は時間をかけずに解答するためあまり記憶に残らず、できなかった問題・悩んだことが頭に残りネガティブな記憶の方が強く残ってしまうため「ダメだった」と思ってしまったのかもしれません。

きちんと思い出すと、がんばって暗記したことや模擬試験でやったことがいくつもでてきていたし、カタカナで答える地図問題も2箇所対応できました。たぶん、自分が想像するよりできていたのだと思います。(実は合格は間違いでした!というお知らせが来るんじゃないかとまだ少し疑っていますが→二次試験の案内きました!)

70%で安全圏だけど65%くらいの正答率でも受かるという話も聞きました。暗記量はものすごく多いし、すべてを網羅して覚えるのは大変ですが、間違えてもうろ覚えでも、基本を理解できていれば受かるということなのでしょう。

一次試験の勉強で重要だと思ったこと

  1. ポイントを絞る
  2. よく出ると言われる問題は絶対おさえる
  3. 地図を描けるようになる
  4. 自分の暗記スタイルを知る

    よく出ると言われる問題はやっぱりちゃんと出ました。頻出項目を重点的に覚えることは本当に大事でした。どんな問題が必須だったか、それぞれまた詳しく書きたいと思います。

    ソムリエ・ワインエキスパートの試験勉強をして思ったのは、新しい言語をひとつ覚えるのと同じくらいに労力がかかるということです。世界のさまざまなワイン産地で使われる言葉や概念、ワインを軸に、世界の地理、歴史、文化などを表す言葉は、この資格のある人たちが共通認識としてもっていなければならない知識です。とにかくすごい量の地名やブドウ品種などを学びました。

    つまりは暗記が大変なのですが、試験勉強をしたことのある人に暗記法を聞くと、絵で覚える、語呂で覚える、歌で覚える、ストーリーをつくるなど三者三様の方法が挙がりました。わたしもさまざまな暗記法を試し、自分が一番覚えやすいものを知ることができました。暗記方法についても、別の記事でもう少し詳しく紹介したいと思います。

    時間があったらやりたかったこと

    1. 教本の読み込み

    やはり、できることなら教本を一通り読みたかったです。テストと考えると使える時間が決まっているので要点をおさえたいという思いが強くなってしまい、難しかったのですが、読み物としてはストーリー仕立てでおもしろいと思えるところも多かったです。

    理解が進んだいまならもっと楽しめるかもしれないし、試験の呪縛が溶けたいま、ゆっくり読み直してみたいです。ただ、やっぱりすごく重くて開きにくいのが難点なので、電書で読むのが良さそうです。

    まとめ

    いろんな教材を見たり、WEBサイトや問題集に手をつけたりしましたが、主に続けてやったことをまとめると、

    • 「ヴィノテラス ワインスクール テキスト 2024年度」を読み、WEB問題集「VINOLET(ヴィノレット)」を解く
      → 動画講座とセットでやるのがベスト。問題集は最初単元ごとにやり、最後は全範囲から模試形式で
    • YouTube動画の視聴
      → 見ていて飽きないものを探す
    • 自分のまとめノートをつくる
      → 一度自分なりにまとめると理解が深まる
    • 必要事項の暗記
      → 頻出項目から優先順位をつける。最低限これは覚えるというものを決める
    • 本番想定の模擬試験を受ける
      → 本番形式に慣れるのと自分の現在地を確認しモチベをあげる

    以上です。
    基本の基本の基本をしっかり叩きこめばきっと大丈夫!
    来年以降受験する方の参考になれば幸いです。

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