『さみしい夜にはペンを持て』を読んでブログを書き始めた。

『嫌われる勇気』などの著者として有名な古賀史健さんの『さみしい夜にはペンを持て』。
2023年の7月に出た本ですが、また読み返してしまいました。勢いにまかせて紹介します。

数年前、ずっと毎日のようにブログを書いていて、ある時からなんとなく書けなくなってしまって今にいたるのですが、この本を読んで久しぶりに「なんか書きたい」という気持ちになれたので、おすすめ文を書くことにしました。

読むと、「書く」ことへのハードルが下がります。ブログとか日記とか書きたいんだけど、うまく書けない、でも書きたいんだ!と思っている、そんな人にこそ、おすすめなのです。

目次

タコジロー君の冒険ファンタジー

気弱で優しくて、いじめられっ子のタコジロー君が主役のお話です。
タコジロー君が、ある日ヤドカリのおじさんと出会い、「書く」ことを教わり成長していきます。
内的世界を描いているのですが、冒険モノを読んだような読後感です。

もちろんタコジロー君が実は能力者で地球を救うヒーローになる、とかそういう話しではないです。
書くことを知って、タコジロー君の見える世界が変わっていくのがお話の肝ではないでしょうか。

ヤドカリのおじさんと師弟関係で教わっていくスタイルは、『嫌われる勇気』と似ています。
でも世界観は、海の生物たちを擬人化しているので、だいぶファンタジーです。
そして、表紙のイラストや挿絵も細部まで丁寧に描かれていて、良質な絵本を読んでいるようでした。

ファンタジーだけど骨太

タコとかヤドカリとか出てきて、なんだかふわふわしたお話のようにも感じるのだけど、
中身はしっかりしてます。

私がグッときたのは「自分の気持をスケッチする」というところですね。

ヤドカリのおじさんと日記を書く約束をしたタコジロー君が、1日目に書いてみたけどうまく書けず、おじさんに「難しかったよ」と打ち明けるのですが、

文章ってね、書こうとすると書けなくなっちゃうんだよ

とヤドカリのおじさんが言うひとこと。
いや、ほんとそうだな〜と。

そこでどうするか?

ゼロから書こうとしないで、まずは自分の気持ちをじっくり観察する。風景を描くとき、そうするようにね。そして見たままをスケッチしていくんだ

よく観察して書く、と言うのはよく言われるけど、「風景を描くときの感覚で書く」という言葉の方が、感覚的に分かりやすいですよね。

そんなふうに、どこか感覚的だけど、「あ、そういうことか!」と腑に落ちるような表現が
あちこちに散りばめられて
ます

自分でブレーキを踏んでしまう

ちなみに、自分が書けなくなったのも、おんなじように「書こう書こう」と思いすぎたのが原因だったかもしれない、と思いました。

それと、「読まれる」ということを意識しすぎてしまったんですね。「変に思われたくない」「いいことを書かなきゃ」「怒られたくない」などなど。ただ、自分の感情や感覚に素直になって、描写しようとするだけで良いのにね。

タコジローくんは、おじさんのアドバイスもあってメキメキと書く能力を発揮したのですが、最初の頃はそんな状態でした。それは、ヤドカリおじさんに言わせると「自分でブレーキを踏んでいる」状態なのだそう。

いい人間だと思われたくて、嘘がまざったり、言葉が自分の思いから離れていってしまうのだそうです。せっかく自由に書けるのだから、これからは、そんな気持ちで書きたくないものです。

絵画や映像の視点で「書く」

もうひとつ好きヤドカリのおじさん言葉は、ことばでの表現についてです。

ヤドカリおじさんは、100色の色鉛筆をもっていた方が、絵を描くときに表現の幅を広がるのと同じように、言葉もたくさん持っていたら文章を書くときの表現力が増すとタコジロー君に教えます。

微妙に色の違う色鉛筆で塗り分けるように言葉を選ぶことで、「自由になれる」とおじさん。

たくさんのことばを知って、たくさんのことばを使いこなせるようになるほど、文章は色彩豊かなものになっていく。しかもことばの色鉛筆には何千・何万という色があるし、無限の組み合わせがある

これは、ふだんから雑に言葉を使いがちな自分に「喝」を入れたくなる言葉でした。なるべく誤解のないように丁寧に伝えること、それのために、たくさん言葉を使えるようになれることが大事です。

より多くの言葉に感情をいれることなのかもしれません。多言語を学ぶときにも共通する感覚だなと思いました。

その他にも、スローモーションのように文章を書くとか、絵とか映像のような目に見えるものに例えて「書く」ことを教えてくれるところは、すごくわかりやすいです。

「すごく分かりやすい」というのは、この本を通じてずっとそうなのですが、どういう力を持つかというと、やっぱり、自分もやってみたくなるんですよね。

別に書かなくたっていいけど、書くって楽しいよね

この本は、物語を読んでたらいつのまにか勉強になっていた、という意味で、
原田ひ香さんの『三千円の使い方』を読んだときの読後感をちょっとだけ思い出しました。
『三千円の使い方』は、お金について学べる小説なのですが、フィクションでありながら、現実味がすごくあるのです。
この本を読んでアプリの家計簿をつけはじめたので、「読んだあとに行動したくなる」と思えるところも、自分にとってはとっても似ていると思えました。

書くために、考えたり、答えを出したりするのは、かなりの労力がいります。それでも「書くことが楽しい」と思えるのは、考えて言葉にして今の自分の答えを出すことで「スッキリ」できる感覚癒やされるような感覚があるからなんだ、と納得できました。

そんなことを思い出して、やっとブログが書けました。人に行動をおこさせてくれる本です。

ちなみに、古賀さんのnoteを読んで分かったのですが、この本は中学生向けに書かれたものだそうです。
https://note.com/fumiken/n/n9fb4c0b90582

なるほど、中学生向け。たしかに分かりやすいわけですね。中学生じゃなくて、中年なんですど、すごく良かったです(笑)。

“わかりやすさ”があることで、感動を通してしっかりと伝わるし、人の背中を押してくれるんだな、とそういう意味でも勉強になりました。

Amazonのレビューを見ていたら、けっこう大人も読んでますね。ホッ。

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