ソムリエは、レストランやホテルなどで客にワインを提供し、選択することを専門とする職業です。一方、ワインエキスパートは、ワインの深い専門知識を持ちつつも、愛好家といった素人向きの資格。
プロではないのだから、「ワインエキスパートを取るのは無意味では?」と決めつけるのは早計です。ワインエキスパートを取ることのメリットはたくさんあります。
今回の記事では、ワインエキスパートの資格勉強をしながらも「無意味では?」と思い始めたあなたのモチベーションをあげられるよう、ワインエキスパートを取ることで得られるメリットについて、考えていきたいと思います。
ワインエキスパートの資格について
ワインエキスパートってなんぞや?という方のために、ワインエキスパートの資格について、ソムリエとの違いを少し説明しておきますね。
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ワインエキスパートとは?
まず、ワインエキスパートとソムリエの違いについて解説します。(「知ってるよ!」という方は飛ばしてください)
ワインエキスパートとは、一般社団法人ソムリエ協会が認定する民間の資格で、主にワイン愛好家向けの認定資格です。ワインや酒類関連のプロが取得するソムリエ試験に対して、職業問わず20歳以上の方なら誰でも受けることができます。
一般的には、ワインの知識、テイスティング能力、サービス技術などがテストの内容として含まれます。ワインの歴史や地域、ブドウ品種、生産方法などの知識が問われるほか、ブラインドテイスティングやワインペアリングに関するスキルも評価されます。試験は難易度が高く、綿密な準備が必要です。
ソムリエとの違い
ソムリエは、レストランやホテルなどで客にワインを提供し、選択することを専門とする職業であり、酒類、飲料、食全般の専門的知識やテイスティング能力を有しています。
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ソムリエの試験を受けるためには、ソムリエの職務が本職(主たる職業・職務)であり、全収入の60%以上をソムリエの職務により得ていることが必須条件となります。
<ソムリエの職務>
→ 酒類・飲料を提供する飲食サービス
→ 酒類・飲料の管理・仕入れ、輸出入、流通・卸、販売、製造
→ 酒類・飲料に携わる教員機関講師
→ 酒類・飲料に関するコンサルタント
以上の条件を満たし、上記いずれかのソムリエの職務を「就労時間月90時間以上の勤務で通算3年以上」経験し、基準日(2024年8月31日時点)においても同条件で従事している方
※JSAソムリエ会員歴が2年以上あれば、通算2年以上
つまり、ソムリエは、過去3年間(1日8時間週3日以上)現役バリバリでソムリエ職務に従事している人でなければ取ることができません。
一方、ワインエキスパートは、ワイン愛好家やワインに興味があってこれから働きたいが先に知識をつけたい、という人でも受けることができます。
テストは、プロのソムリエ並の専門知識が求められるため、ワインエキスパートとして資格を得ることは、ソムリエと同等レベルのワインに関する深い知識とスキルを持つことが証明されたと言えるでしょう。
ワインエキスパートのメリット・デメリット
デメリット – 無意味と言われる理由
ワインエキスパート取得のデメリット
- 直接の仕事につながらないからお金にならない
- がんばったわりにその価値が周りの人に伝わりにくい
- その他
1. 直接の仕事につながらないからお金にならない
ワインエキスパートの資格を取得することによるデメリットは、直接的なお金に結びつかないという点が挙げられます。
ワインエキスパートの資格を取得することは、確かにワインに関する知識やスキルを高める良い手段です。しかし、この資格を持っていても、それだけで職業に直結するわけではありません。
あくまでワインの専門知識を証明するものであり、その後の実務経験やコネクションがなければ、職業としての道が開けるとは限りません。
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2. がんばったわりにその価値が周りの人に伝わりにくい
一般の人にとってその資格の知名度が低い場合、周囲の人に資格の価値を知ってもらうのは難しいかもしれません。せっかく取得したのに、自分で「ソムリエ並の資格なんだよ」と説明するのは少し恥ずかしいものがあります。
資格取得の努力が周囲に認められないことは、モチベーションの低下や自信の喪失につながる可能性もあります。
世の中には、職業に直結しない資格を取ることを「マウント取りたいのか?」と考える人も少なくはないのです。そんな人の無用な攻撃を受けるのもデメリットといえばそうかもしれません。
3. その他
このほかに、1次試験ががソムリエよりも難しい(噂レベルです)とも言われています。
しかし、これは逆に言うと、ワインエキスパートを取ることは、ソムリエ同等(むしろ知識的にはそれ以上?)の知識があることを証明してくれる、ということでもありますね。
まとめると、デメリットはお金や周囲からどう見られるかなど、外的要因による理由が大きいようです。
メリット – 圧倒的にメリットが多い!
ワインエキスパートを取得する最大のメリットは、なんといっても周りにいる身近な人も含めて、自分自身の「ワインライフ」を豊かにできることではないでしょうか。
とはいえ「豊かなワインライフって何? 」って感じですよね。
もっと細かくみていきましょう。
ワインエキスパートを取得することで得られる「豊かなワインライフ」
- 高品質なワインを見極める能力が身につく
- ペアリングを知ることで、食事がますます楽しくなる
- ワイン愛好家同士の交流の機会が増える
- 旅行が楽しくなる(特に海外!)
- 他国のワイン好きとワインの話で盛り上がれる(ワインはグローバルな飲み物!)
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1. 高品質なワインを見極める能力が身につく
資格取得には、世界中のさまざまなワインの酒類や特性、味わい、生産地による違いなど深く理解することやテイスティング技術の向上させるための学習が含まれています。このことにより、自分の好みのワインをさらに洗練させられるこはもちろん、高品質なワインを見極める能力も身につけることができます。
たとえば、ワインの価格は、ヴィンテージやワイナリーの格付けによる希少性だったり、実際の味わいとは関係ない要件により値段が決められています。※国によっては関税や配送料などもお値段に含まれます
YouTubeのワインチャンネルを見ると、トップクラスのソムリエさんでも、ブラインドで味わうとカルディの2000円以内のワインを高級シャトーのワインと間違えたりしていますし、逆に、○万円のワインを5000円ワインと評価したりしています。(お正月の芸能人格付け番組でも同じような光景が見られますね)
エキスパートを取得すること、格付けシャトーの知識も身につくし、あまり知られていないけれど美味しいワインができるエリアについても知ることができます。
ワインの相場を知ることで、自分が美味しいと納得できるお値段以上のワインを見つけられる確度があがることは間違いないでしょう。お値段以上のワインを自分の知識で見つけられたら、すごく気持ちがあがると思いませんか?
2. ペアリングを知ることで、食事がますます楽しくなる
ワインエキスパートの資格はワインと料理のペアリングの知識を深められます。
ペアリングとは、ワインと食事の相性を考えて組み合わせることで、お互いの味わいを引き立て合うテクニックです。このテクニックを身につけることで、普段の食事がより楽しく、豊かなものになります。
また、特別な食事やイベントで、適切なワインを選ぶことで、より贅沢な食体験を楽しむことができるでしょう。
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3. ワイン愛好家同士の交流が増える
ワインエキスパートを取得したら、積極的にコミュニティなどに参加することで、他のエキスパートや愛好家との交流が深まります。共通の趣味や興味を持つ人々との交流は、新たな友人やビジネスの機会を生み出す可能性につながるかもしれません。
なにより、同じ趣味をもつ人とワインを楽しむ時間は格別でしょう。「ワインエキスパート」を取得するための苦労話に花を咲かせられるでしょう。
4. 旅行が楽しくなる(特に海外!)
ワインエキスパートの資格を持つことで、ワインの産地やワイナリーを訪れる旅行がより楽しくなります。資格取得過程で身につけたワインの知識やテイスティング技術を活かし、現地でのワイナリーツアーをより深く楽しむことができます。
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5. 他国のワイン好きとワインの話で盛り上がれる(ワインはグローバルな飲み物!)
ワインは世界中で愛され、各国ごとに独自のワイン文化があります。ワインエキスパートは、世界中のさまざまな国の地理や歴史、食文化などについて学びます。海外の方と話す機会がある方は、他国のワイン好きと簡単にワインの話題で盛り上がることができます。
デメリットをあえて攻略してみる
デメリットと言われていることも、よくよく考えるとそうでもないのでは?と思えてきたので、希望的観測になりますが、攻略してみます。
「職業につながらないからお金にならない」はホント?
現在は、初心者でも、ワインエキスパートを取得することが、ワイン業界で働く入口となることが考えられます。ソムリエは、酒類関連の業務経験が必要ですが、初心者のうちにワインエキスパートを取得することで、その仕事に対するやる気が感じられて、応募したら採用される確率があがるでしょう。
職業としては、以下のようなワイン関連の仕事が考えられます。
・レストランでのソムリエ業務
・ワイン販売
・輸出輸入業
ワインエキスパートをステップとして、新しい職業につくことは十分に可能と言えるのではないでしょうか。
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「知名度がないので、その価値が周りの人に伝わりにくい」について
そもそも資格は自分のために取るものです。人に価値を感じてもらいたいのであれば、「資格を取った」ことではなく、「資格を取り詳しくなったことで、周囲に良い影響を与えること、周囲に価値を提供すること」が大事なのではないでしょうか。
一緒にワインを飲みにいく機会をつくり、美味しいワインを選んであげると喜ばれるでしょう。あまり知られていないけれど、実は美味しいワインを紹介したり、ワインにまつわる楽しいストーリーを語ったりすると、「さすが、詳しいね」と見直されるかもしれません。自宅などに人を招いてワイン会をひらくのも良いでしょう。
一方で、がんばって得た知識をみんなに知ってもらうのは素晴らしいですが、ワインのうんちく話に終始して、聞いてる人をつまらなくさせないよう注意を!
お値段以上の美味しいワインの選び方など、みんなが知ったら楽しんでくれそうな話題を選んで、ワインに対して興味をもってもらえるようにするのが良いですね(自分に言ってます)。
まとめ
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もちろん資格はその世界の入口にすぎず、実際は、ワインを選んだり食事に合わせたりといった経験を通して磨かれていくものです。しかし、0になにを掛けても0にしかならないのと同じで、もっている知識が少ないと掛け合わせたときも、たいした数字になりません。
ワインエキスパートでワインの世界の知識をもち、そのうえでワインを楽しむことによって、何倍もの楽しさが掛け合わさって、幸せな毎日を過ごせるはず。と信じて私はがんばっています。えらそうに語ってしまいましたが、まだ受かっていません(笑)
エキスパート試験勉強に頭を悩ませているみなさま、もう一息頑張りましょう!